Hammer's-Photo/日々雑観

温故知新 / ロジャー・フェントン

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2007 / 現代の「フェントンの馬車」

1839年8月のタゲレオタイプ発表のその月のうちには高価ながらも
写真機材・薬液一式がフランス国内で一般に向け発売されました。
その年の年内にはアメリカでも発売され写真は一気に市民の間に広まります。

1851年頃から写真機材へのガラスの本格的な導入が始まり
これはコロジオン湿板法と呼ばれ、ガラス板のネガを使用する事で
写真の描写力をより高いものにしました。

しかしながらこの撮影法は撮影前にガラス板へ薬液を塗布し、それが乾く前に
速やかに撮影を行う必要があります。
その為、屋外での撮影にはそれら薬液と感光防止用のテントの様な暗幕など
大掛かりな装備が必要となりました。





1855年ロジャー・フェントンはイギリス政府の依頼によって
馬車を改造した暗室を使用してクリミア戦争を記録撮影しました。
当時の撮影機材の能力から戦闘自体の撮影ではなく
戦場や兵舎などの記録撮影ではありましたが
これが記録上での世界初の戦争記録写真となりました。


1860年代以降になると欧米列強の世界進出を背景とした未踏地調査が盛んになり
多くの人々がコロジオン湿板の機材とともに世界各地を撮影する事になります。



・・・で本日の画像ですが
フェントンの馬車から150年後の現在。デジカメ、パソコン、車などの移動手段。
誰でもが容易に撮影出来る状況に反して1枚の重みは軽くなりがちに思います。

機材に使われる事の無きよう、自戒の念を込めての本日の記事です。


<注意>
完全な独学なので表現等に誤りがある場合があります。
そういった点の御指摘なども含めてコメント頂けますと嬉しいです。
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by hammer0011 | 2007-02-15 00:00 | Comments(5)
Commented by ukphotography at 2007-02-15 03:38
こんにちは!
温故知新、素敵な言葉ですよね。

>誰でもが用意に撮影出来る状況に反して1枚の重みは軽くなりがちに思います。

頷きながら拝読しました。
あの時代、技術的にも撮影は難しくて、カメラ一台も信じられない値段で、
昔の写真を見ていると、よくこんなの撮れるなあって感心します。

コロジオン湿板法は初めて聞きました。勉強になります!
Commented by hammer0011 at 2007-02-15 09:18
UKさん>
最近は写真作品の歴史的価値について
自分的に再認識する事も多く、温故知新を痛感しております。
湿式コロジオン法、コロジオン法などの表記もありますが
英表記では「wet collodion process」です。

この頃の技術革新によって写真が一般化していくプロセスは
最近の日本でのデジカメの浸透を見る様で興味深いですね。
Commented by small-talk at 2007-02-15 22:10
フェントンは、おそらく世界初の「戦争写真家」でもあったのですよね。
暗室を馬車に積み込んで、クリミア戦争を写したようです。
しかし、こんな物を積んでよく戦争の記録を写したものだと思います。
Commented by small-talk at 2007-02-15 22:44
と、コメントしたのですが、記事をよく拝見したらちゃんと記述なさっていたのですね。すみませんです。
Commented by hammer0011 at 2007-02-16 09:58
small-talkさん>
同時期南北戦争の記録もアレクサンダー・ガードナーらによって
記録されたりしていて、戦争報道写真の黎明期と言えそうですね。
追記分が少し分かり辛くもうしわけありません。
一応多少なりとも分かる様に修正してみました。